第11回
主題歌

yu-yu


 “服部隆之 Presents GUNDAM THE ORIGIN featuring yu-yu”名義でリリースされた、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅰ 青い瞳のキャスバル』 主題歌「星屑の砂時計」。
現在、音楽活動を休止中ではあるものの、『THE ORIGIN』スタッフからの熱い思いに応えて、特別に歌唱参加したyu-yuさんに主題歌を歌われるまでの経緯や、込められた思いなどを語ってもらった。
——『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の主題歌はどんなかたちで依頼があったのですか。
yu-yu 音楽活動休止をして間も無く主題歌のお話を頂いたのですが、活動休止は想いの果ての決心だったので、気持ちは変わらず、大変申し訳ないと思いながらお断りさせていただいたんです。
ですが、熱いラブコールを何度もお送り続けてくださって。その時は、本当にどうして私なんだろう? って。活動休止をしているのに、どうしてこんなに大切な役を私なんかにオファーくれるんだろう? って心底疑問だったんです。
最終的にお受けしたのには色んな想いがあり…。特に今西隆志監督が私の原点であるデビュー曲を聴いて主題歌起用を考えてくださったとうかがい、それがとても嬉しくて嬉しくて。
そして、今西監督からのご依頼は、デビューの時から一緒に奮闘してくれていたスタッフさん達宛にいただいたのですが、実はこの方々がyu-yuスタッフであったということをご存知なかったそうで、「多分知らないかもしれませんが、yu-yuというシンガーがいて」と(笑)。そして私自身はそのスタッフさん達が「ガンダムの主題歌を担当することが10年来の夢だった」ということを知らなくて。
とても数奇な運命を感じました。
私としては、「見てくれていた人はいたんだ」と全身に鳥肌が立ち、様々な想いと報われるような嬉しさが込み上げました。
活動休止の中、“心”をたくさん感じた繋がり。
“純粋に音楽と向き合いたい”
“受け取ってくださる方と歌を通して会話したい”
そんな想いをもって、レコーディングに参加させて頂く決意をしました。
—— 今までに『ガンダム』作品をご覧になったことはございますか。『ガンダム』のイメージは何かお持ちだったでしょうか。
yu-yu  『ガンダム』作品は、初心者です。
今回、これまでの映画やコミックスにも触れる機会を頂けたのでとても感謝しています。
奮発してコミックスを全巻大人買いしました(笑)。
みなさん、初心者ですがよろしくお願い致します。
——「星屑の砂時計」の曲をご覧になった時の感想はいかがでしたか。
yu-yu 今回は、完全に楽曲が出来上がってから聴かせていただきました。 夜に受け取って、メロディをなぞるように2〜3回口ずさんでから、「もう夜も遅いしまた明日やろうかね」と寝て起きたら、朝には完璧にメロディを覚えていたという奇跡の曲です。馴染むんです、すごく(笑)。服部隆之先生が産んだメロディは、余韻までもが心地良く、本当に心の波のようです。
そして、山川啓介先生の詞。作品とも繋がる月や星たちを取り上げられていて、壮大な世界の中に命の巡りがあって、ぬくもりというか、とても素朴な温かいものを感じました。
こんなにも素晴らしい楽曲とちゃんと手を取り合って歌えるのだろうかと不安もありつつ…。だけど曲がとにかく馴染むので(笑)、形になるまでのワクワク感がとどまることを知りませんでした。
—— 今西監督や安彦良和総監督から何かオーダーはありましたか。
yu-yu 特には…(笑)。
今回、私はシンガーに徹する形で、作品と楽曲から感じたことをそのまま歌って大丈夫と、任せて頂けた感じでした。
レコーディングの際に、今西監督がエンディングのシーンを観せてくださり、作品の内容や想いをお話してくださったのですが、その時の表情や雰囲気がとても印象的で。
「大丈夫だよ〜」という声が聞こえてくるような、無条件に信頼してくださっている感じでした。
そのおかげで、心が研ぎ澄まされていき、観せてくださったシーンが純粋に心に落ちてきて、真っ直ぐに「星屑の砂時計」に魂を込められたかなと感じています。
心底、感謝の気持ちでいっぱいです。
——ラストで「星屑の砂時計」が流れるシーンはとても感動的でしたと言うファンの声も多く聞かれます。歌われたご感想やyu-yuさんが込められた思いなどがございましたら教えて下さい。
yu-yu あのシーン、私もとてもとても感動しました。
楽曲がアルテイシアの気持ちを歌っているので、「なにあれ! おっきいの! あれがまぁるくなるの…?」というアルテイシアがますます愛おしくて…。それを聞いて言葉を飲み込むキャスバルもまた愛おしい。
ラストは、壮大な運命と切なさの一方で、とても希望を感じるシーンだと思うので、私も歌う時に心の真ん中に置いていたのは、“希望”という大きなテーマでした。
レコーディングでは、バンドやストリングスの演奏を先に録音して最後に歌録り。早くスタジオ入りしてオケ録りも立ち会わせて頂き、生音を肌で感じていましたが、まさに一音入魂、とても丁寧に演奏されているのが伝わって、楽曲にぬくもりが灯っていくようでした。
果てしなく広がる宇宙の暗闇の中で、命の巡りと希望を感じさせてくれる、とても奥深い楽曲。
受け取ってくださる方の、あなたの心の奥に、この歌が優しく流れ込んで行ってくれますようにと願いを込めて…。
——『機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅰ 青い瞳のキャルバル』をご覧になっていかがでしたか。
yu-yu ………。 素晴らしくて言葉になりません。
劇場に何度となく足を運びましたが、その度に涙、涙。左手にハンカチ、右手にティッシュでした。みなさんもそうだったでしょう(笑)?
ただただシーンに没頭したり、作品から伝わる熱量に震えたり、映画館で初めて聴く自身の歌を噛み締めたりもしました。
制作の方々、声優の方々が、それぞれ“ガンタムに命を吹き込んでいる”凄まじさを肌で感じましたし、作品を愛する気持ちもひしひしと伝わってきました。
特に心に残っているのは、母と子が引き裂かれる前夜、3人で暖かいベッドに並びお話するところ。その時の会話がエンディングのシーンでまた思い出されて、心に落ちてくるんです。
こんな作品に出会えてとても幸せです。
——作品のファンのみなさんへのメッセージをお願いいたします。
yu-yu 今回初めて出会った方、そしてyu-yuのファンの方、この作品を通して繋がることが出来て、本当に感謝でいっぱいです。どんな風に「星屑の砂時計」を受け取ってもらえたのか、とても気になっています(笑)。
限定的な形での活動となってしまい、なかなかみなさんにお会い出来る機会を作れず、楽しみにしていてくださっていた方々には申し訳ない気持ちです。
初心者ですが、私も『THE ORIGIN』の大ファンになりました。「星屑の砂時計」、作品と共に、あなたの日々の中で、心に寄り添う楽曲となってくれたらと祈っています。

心の底の、そのまた底から祈ってます。
ほんまに、おおきに。
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