安彦良和コメント

 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の映像化にあたって、ちょうど25年、四半世紀ぶりに、またアニメに関わることになりました。
 今回映像化される「シャア・セイラ編」は、基盤となっている『機動戦士ガンダム(1stガンダム)』の「過去の物語」で、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の全くオリジナルな部分でもあり、僕にとっては最も愛着のある部分です。そこで、OVAという形で映像化するのであれば関わることができるのではないかと思い、メインキャラクターのデザイン、絵コンテなどをやらせてもらうことにしました。

 長いことアニメ界を離れていた間に、アニメ現場は大きく変わっていました。すっかりデジタル化されていて、珍しいこと、驚くことばかりです。でも、その反面、昔とあまり変わっていない部分もあります。そうした部分では、まだまだ僕もお役にたてそうです。

 「シャア・セイラ編」を描き始めた当初は、これまで語られていない部分を描くということで、おっかなビックリでした。でも、「面白い」「いいね」と高い支持を得ることができ、描いてよかった、と思いました。
 映像化にあたり、有能なスタッフの皆さんが物語を検証したり、たくさんのアイデアを出して設定を強化したりしてくれています。それでも、僕の描いた漫画原作の基軸は変わっていません。あらためて僕は、僕の描いた『ガンダム』の「過去編」に自信を深めています。

 新たな才能の参加と新たな技術の投入、そしてたくさんの人達の努力と働きで、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は今すばらしい映像に変わりつつあります。それを楽しみつつ、多くの皆さんにあらためて『機動戦士ガンダム(1stガンダム)』の「奥深さ」を感じていただけたらいいなと、いま、心から思っています。